不揃いの林檎たち -10ページ目
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#2 死国一周弾丸ツアー、3名様ご案内。

 

 こんにちわ。またお会いしましたね。運命でしょうか 宿儺です。




 あれはまだ私たちが童貞だった高校二年生の頃、その夏休みの終わり二日前のことでした。



 

 林の家でフキダマっていた私・純・林は その日も「菅野美穂とヤリたい」などと 非生産的な会話ばかりし


ていたのですが、なにかの拍子に瀬戸大橋の話になりました。

 

 

 当事はまだ明石海峡・しまなみ街道などは開通しておらず、瀬戸大橋は四国と本州を繋ぐ唯一の「橋」だっ


たのですが 私はその開通間もない頃渡った事があり、ライトアップされた橋はとてもキレイだった、と語った


のです。

 


 ・・・それを喋ったのが地雷でした。純も見た事があるのが判明、林が「見たい」と言い出したのです。・・・そしてすぐに日本地図を出してくる林。 

 



私「・・・ちなみに言っとくけど、行かないよ?明々後日から学校だし。」 


林「だねえ。で、明日何時集合?




 
いったい何を謳っているのでしょうか、この末っ子は。

 

 この後 彼はコンパスで距離を測り、「だいたい片道150キロ、原チャリがリッター20キロ走るとして 千二百


円もあれば行ける」との事。


 

 食事代が入ってない、距離計算が大雑把すぎる、そもそも掛け算が間違っている などツッコミどころ満載のこのプラン。




地図  この縮尺で距離計算かよ


 



 時間も朝6時に出て30時間後の 明後日夜中に帰ってくるという弾丸ツアー。修行かな?

 

 

 この後 私と純が「マジで行くの?」 と12回くらい聞きましたが、

「ああ、もう決定事項。」と旧ナチスも真っ青の強権発動。





その後この末っ子のヒットラーに


「明日6時にコンビニ前、千五百円持って集合ね。じゃ 明日に備えてもう寝よう。オマエらもう帰れ

と言われ、

 



彼の家の愛犬パブロフ に吠えられながら帰宅する私と純。

 





 

 恐ろしい事に純までが少し楽しそうにしています。間違いなく無謀なプランだと思うのですが。

 







・・・実際、無謀でした。

 

 




 






 翌朝、これまでの経験と実績から 間違いなく時間通りにはこないモンスター二匹が相手なので、朝8時にコンビニに向かう私。




 誰も居ないコンビニで軽くタメ息をついた後、中でマンガなどを閲覧しているとすぐに純が到着。第一声が


「お、早いね」
でしたが低血圧なのでツッコミません。そして二人で四国地図を立ち読みしてみた所、ど


うやら片道150キロどころではない事が判明・・・


 純に恐る恐る所持金を聞いてみると 三千円持っている、との事。私が五千円もっているのでなんとかなりそう


です。今から考えれば純の三千円はもとより私の五千円も相当に不安を覚える金額ですが、当事は無敵だった


のでしょうか。




 この後30分ほどして林が到着。第一声は「さあ行こうか」でした。

 


 さすがは総統閣下、言い訳などと言うモノは辞書にないようです。

 


 この後「そんなんじゃ社会に出たらやっていけないよっ!!」 などと至極真っ当な説教をしてみたんです


が、返事は「からあげくん食べたい」でした・・・
 


ま、私を含め3人ともやっていけなかったわけですが。


 



 こうして本当に四国一周に出発する事になりました。ちなみに片道200キロはありそうだと告げると 返事は


「思ったより近いね」
でした。彼の脳は一番大事な回線がショートしているみたいです。
 




 二時間後、80キロ近く進みハンバーガーを食べる弾丸ツアーご一行様。この調子なら今日中に一周して


帰ってこれるんじゃないだろうかと一瞬思ったので、私の頭も相当におめでたいです。







 ちなみにここで林が1400円しか持っていない事実が判明。「逆さに振っても鼻血も出ない」


うですが、出なくてもいいのでとりあえず振ってやりたいです。




間違った距離計算ぶんのガソリン代すらも持ってないのに、ダブルバーガーを食べているこの男。

 

 



・・・この破壊的な金銭感覚・危機感のなさが、この後も大きく彼の人生を狂わして行くことになります。

 

 




 さて。

 

 この後 夜まで観光一切無しのガチンコツアーで愛媛を横断、目指す香川に入ります。

 

 途中親切に道を教えてくれたウルトラ警備隊のようなヘルメットのオッチャンと記念撮影をしたり、

ケツが猛烈に痛くなってきたので 3人とも立ち乗りで運転していて歩行者に爆笑されたりしましたが。






ウルトラ警備隊  「ウルトラ警備隊」で検索したら引っかかった画像







 痛みのあまりケツ おしりが3つに割れそうなのでコンビニの駐車場でカップラーメンとオニギリのディナー休憩


瀬戸大橋側の公園で野宿する事に決定します。ちなみにこの時点で林の残金はゼロ、「7倍にして返す」と言


うので貸してやりましたが、とりあえず彼は発言権を失いました。

 







 この後夜の国道○号線を疾走していると、後ろから”パラリラ パラリラ”と香ばしい音が聞こえてきました。



チャルメラにしてはエンジン音がイヤに爆音です。と、思う間もなく先頭の林をロックオンするリッターバイク。



 後ろの純を確認すると、すごい勢いで減速していました。私も 躊躇無く とても迷いましたが、急減速。
 



 林をオトリにして民家の庭に隠れました。総統はあまり良い部下に恵まれなかったようです。




それでもしばらくして 悲しげな原チャリの音がしたので表に出ると、どうやら無事だったようです。「信じてた」と言って林の無事を喜ぶ私たち。











 彼は「・・・どうゆう事?」と 疑問形でしたが、私たちも自分の身が可愛いのでしかたのない相談です。








 この後やっと瀬戸大橋に隣接する公園に到着しましたが、イルミネーションは開通当時などイベント事だけだと聞かされます。そのため

















 

 暗くて橋すら見えない事実が判明。













 

 

 ・・・私は力なく公園のアスファルトに横たわるとすぐに寝ることにしました。もう何も言う気力が残ってなかったので。


 
 このあと公園に暴走族が入ってきたりして、彼らは一睡もできなかったそうで 一晩中「新入生の川村って子


を好きになった」とか非生産的な話をして夜を明かしたそうです。

 



 帰りの事は書く気にもなりませんが・・・私のバイクが故障して坂でストップ、

 

気が付かない二人に置いて行かれたり ヘルメットの頬当ての形に頬が黒ずみ、

 
デーモン小暮のようなメイクになって激ヤセと呼ばれたり 本当にどうでもいい話が満載です。





 そしてほうほうの体で帰宅したのは新学期前日の夜12時ジャスト、おみやげは切れ痔でした。

 



zi  効くのかしら。

 









 こうして私たちの 修行 旅行と夏休みは終わりました。

 

 

 


・・・ちなみに進学校だった私は新学期初日に行われた英語のテストで爆睡、2を取り

 林に至っては「夕方 目が覚めた」そうです。

 

 

 


 


 私たちは今も思い出に残る旅行と、 焦げたアスファルトの夏の日を愛していました。

 

 

 


#1 携帯が死んだ日。


 

 

 

 






 
優しげな風が木々を揺らし、長い雲間から解き放たれた太陽がその存在意義を存分に誇示していた。


 時は五月。 空は高く、僕たちは若かった。

 




   とりあえず、物語のはじまりはこんな日が素敵だ。

 

 











 純「このパチ屋、クーラー効きすぎじゃねえ?」



・・・はい、パチンコ屋です。もう若くもないのに、太陽の存在意義なんて言ってられません。

 


 南国四国、その最南端の五月末ってのは猛暑ですほんと。「今日は夏日か真夏日か」ってカンジなのがデフォルト です。





 で、毎週末のごとく お気に入りのパチ屋でスロットなんぞを嗜んでいる


宿儺(すくな・私)、山純、竜のアレ三人。ちなみにこのパチ屋、家から 90km強。ちょっとした小旅行です。



 この時点で立派なアレなんですが、当たり前のように 月に4~5回しかない日曜日の3~4回をこの店で過ごしていました。

 



  当事の彼等はいったい何を考えていたのでしょうか・・・



 

 もしも21世紀から来たと言い張るネコ型のアレが手に入ったら、パチ屋にいた時間を

ほとんどの子供が裸足で暮らしているという噂の アジアの某国のために使いたいです。

 



 さて、そうしてこの日もスットコなんぞを楽しんでいたんですが 何しろ寒い。


 このしょっぱい出玉ならそりゃ儲けてるんでしょうが(なんでこんな店に通ってたんだろう)、何もそれを冷房温度で還元してほしくはなかったです。

 





 その日は収支もつまらない目に会っていたので(ようするにケツの毛が抜けるほど負けてた)、自然に隣の

山純と「もう帰ろうよ。”焼肉いーじゃん(実名)”にホルモン食いに行こうよ」


 と話がまとまります。







 そうなると問題はもう一人のアレ、運転手・竜 です。

 

 地元草野球リーグでも屈指の強打者として知られるこの大工は 同時に屈指の運転手でもあり 「4番・運転手・松本」 と呼ばれていました。


 



当然彼の最高の友人である私と純も 彼をDH指名していたので、

彼が無一文に負けるまでおうちに帰れません



 


 彼はいくら負けていても最後の一兵(この場合夏目漱石)まで戦いをヤメない猛者で、勝ったら勝ったで

 



「お客さん、いい加減にしないと出玉没収にしますよ」

 
対猛者用モビルスーツ(=ゴツイ店員) が出てくるまで台から離れようとしない 黒百合の戦士


だったのです。







 と、いうことで彼をなんとか説得すべく探していると、トイレ横の休憩コーナーで末期の肺ガン患者のようにうなだれている彼を見つけました。


 


マクドナルドのバイトの月給くらい負けても笑っている竜が、この時間にそんなに負けているとも思えません。

 







「ヲイ、竜ちゃんどうした?」




 サリバン先生のように優しく聞くと、話し出す 4番・ピッチャー・ヘレンケラー  







「Water」「さっきトイレに行って黒ダイヤ(注・ウ○コの事と思われる )してたら、 ”ボチャン”っていうカンジの


ドラスティックな音
がして、ケータイをトイレに落とした音だった・・・」





 ・・・で、そのあとすぐさますくい上げたのだが、水が入ったようで 電源すらマトモに入らない、との事。 なん


とか電話帳のデータだけでも抜き出したいのでauに行こう、と言う。




願ってもない話 気の毒なので「よし行こう」とか答えていると なぜかしきりに感心している純。





「いやあ、さすがは竜ちゃんやで。」





ケータイを便器に落としてヘコんでいるヘレンケラーのドコに感心するところがあるんだ?この無職。





 

「よくケータイと間違えてウンコの方 掴まんかったねえ。さすがは竜ちゃん。」




 との事・・・・(もうツッコむのもしんどい)  で、この後








 竜「いや、 ブツは流して無かった(もうそこには)」

 




 純「(まだ)流してなかったんやろ。よう間違わんかったもんやで・・・勇者やのワ。 」






 

 

 

エクスカイザー  勇者エクスカイザー(だそうです)

 

 

 







 ・・・とかいうスレちがい・人間交差点 が両者の間であったようですが、もう知ったこっちゃありません。







 最終的に純が 「 auに 液晶が死にました ってウンコ持って行ったら ポリ呼ばれるでオマエ





と言って狂ったように笑っていたので、竜は釈明を諦めたようです。






 ・・・このようにして初夏と呼ぶにはあまりに暑い ある日の午後は過ぎていったのですが、まあだいたい毎回こんなカンジです。




  しかし何も一回目からこんな話をする必要は無かったですね。自分でもビックリ
 










 私たちは 暑すぎた初夏の日とパチンコ屋を愛していました。

 

 




 

#0 不揃いの林檎たち。

 

 


 


両面宿儺 (リョウメンスクナ・偽名)

 


 本人。怪物から取ったその名のとおり 異なる二つの人格がある。 ・・・っていう設定にしといたら後々助かるかなあ、と思って。もういい年だが、肌の張りは年齢を感じさせない。

三度の飯の次くらいにギャンブルが好き。主に賭けているのは人生。(ただいま惨敗中)

右投げ右打ち。

 







純 (ジュン・実名)

 


 通称 純ちゃん。キチガイ一号。句読点がほとんどない手紙を書く。
大阪で「下水道などに潜る総合ビジネス」(本人談)など、紆余曲折を経て 現在家業の大工もどき。
ラジオ六本聴いて休日が終わるような生活を送っているくせにムダにマッチョ

右投げ右打ち。サウスポーオナニスト。

 







竜 (リュウ・実名)

 

 通称 竜ちゃん(りゅっちゃん)。キチガイ二号。草野球では街でも有数のスラッガー。常に貧乏なくせにまったく金銭感覚がない。紆余曲折などまったくないままに家業の大工、跡取り。


 末っ子、上は姉二人。彼が産まれたとき、父親は飲めない酒を三日飲んだ。・・・とかいう話を家業ボイコット中に延々と聞かされたらしい。

右投げ右打ち。強打者。








利彦 (トシヒコ・実名)

 

 通称 トシピコ。キチガイV3。東京在住のミュージシャン志望、現在は新聞配達員。ようするに「人生ロクデナシ中。」

秋の空よりもコロコロ彼女が変わるなど、小豆相場よりも激しい人生を謳歌しているが 金銭感覚がゼロ。そのため「借りられるだけ目いっぱい」 の借金がある模様。ご利用が計画的じゃなかったらしい。


座右の名は「食いたいときがうまいとき」。・・・はやく4万返せ。

右投げ悪球打ち、穴があったら入れたい。


 





 

 以上、社会という名のヒエラルキーで最下層に位置する面々が「先には立たない後悔」ばかりしている日々の雑記。


 読んでも何も沸いてこない(勇気とか)でしょうが ・・・ま、国勢調査に引っかかった とでも思って時間を無駄にしてください。


 

 当ブログをご覧いただきありがとうございました。   ※一切の苦情はお受けいたしません。

 

 




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