#19 戦士の帰還 | 不揃いの林檎たち

#19 戦士の帰還


 自動ドアが開きませんでした。「出直して来い!!」・・・みたいな。


 >こんにちは。 スクナです。






 5年ほど東京砂漠に寄生していた 林君が帰ってきました。帰ってこなくてもいいのに

 


 なんでも勤めていた新聞配達店の不正を内部告発してヤメたそうで、経営者にしてみれば


「飼い犬に手を咬まれた」ってとこなんじゃないでしょうか。



 ま、彼は狂犬ですけど。




 その狂犬、新聞にチラシを折り込む作業中に眠くなり 新聞に新聞を挟んだりしてたそうで、遅かれ早か


れクビになったとは思いますが。





 まあしかし久しぶりです、借金回収に 遊びに行ってみます。

 



 私「おう、久しぶり。4万返せ


 
 林「国に帰れ」



 手ブラじゃ帰れません。こちとら慈善事業じゃねぇんだ。





 さてこの後、小汚いリビングで小汚い会話をしていたんですが
 
 


 なぜか部屋に上がらせてくれません。



 階段を上がろうとすると
 
「イヤイヤイヤ・・・部屋はちょっと。」  

 

 とかなんとか。




林「ちょ、ホントにダメだって。ちらかってるし。」


私「汚いのは知ってるよ。大丈夫。」


林「オマエの頭が大丈夫じゃねえよ。ホントに今は無理。」
 
私「なんで?死体でもあるのか?」


林「・・・うん、ある。だから無理」 


私「ソレ絶対見る。」


林「イヤ、ホントにダメなんだって。フィギアとかあるし








 それか。







 こういうヤツだ。謎はすべて解けた。






私「等身大のヤツだ。・・・リアルドールって言うらしいね、今は」


林「イヤ、そういうヤツじゃなくて。ダッチワイフなんかあるかボケ。」



「ある意味 死体みたいなモンだ。」


「・・・・聞け。」



私「よし解った。今後の付き合いのためにも上がらないよ。じゃ、もう帰ります私。」


「・・・上がっていけ、オマエ」



私「いや、もうお花のお稽古の時間だった。大丈夫、人に負の部分があるのは当たりまえの事ですよ?


林「とりあえず飲み物でも飲んでいけ。水道水でいいか?






 ・・・こうして私はそそくさと林邸を後にしたんですが、今もあの部屋では彼のひとりよがりなメイク

が行われているのでしょうか。



















 胸が痛みます。






  さみしかっただけなんだよね





 私はそういうのも、それはそれでいいんじゃないかと思います。(日本語って便利です)